革命的な面白さ! 小説「DINER(ダイナー)」感想(平山夢明)

投稿日:2018年10月18日 更新日:

どうも、加藤直ノ助です。

今回は平山夢明氏著書の「DINER」の感想を書いていきます。

この本の素晴らしさを共有したいので、ネタバレはせず魅力を書いていきます。

「DINER」の魅力

 

めちゃくちゃ面白かった。

この本はページ数でいうと500ページ位あるんだけど、あまりの内容の面白さにスラスラ読んじゃって気がついたら2日くらいで読み終わってた。

ちなみに僕は本を読むスピードが結構遅い方で、過去に似たようなページ数の自己啓発書を昔読んだことがあるんだけど、読み終わるまでに1ヶ月とか掛かってた。

 

「うわ、この自己啓発書文字数ありすぎ!こんなん読み終わるのに一生掛かるわ!」とか思いながら読んでたけど、小説「DINER」は「うわ、面白い!続き気になる!」とか思いながら読んでたら2日で読み終わった。

 

僕みたいに本読むのが遅いとか、そもそも活字が苦手だって人っていると思うんですけど、是非この本は読んでみて欲しい。

「あれ?もう読み終わってた」ってな感じでスラスラ読んじゃうから。

どんな話?

 

この小説には大まかに分けて

・極限状態で繰り広げられる人間ドラマ

・リアリティがあり過ぎて辛い拷問描写

・めっちゃ美味しそうな料理

この3つの要素から構成されている。

 

極限状態で繰り広げられる人間ドラマ

 

ほんの出来心から携帯闇サイトのバイトに手を出したオオバカナコは、凄惨な拷問に遭遇したあげく、会員制のダイナーに使い捨てのウェイトレスとして売られてしまう。そこは、プロの殺し屋たちが束の間の憩いを求めて集う食堂だった ―ある日突然落ちた、奈落でのお話。

DINER(平山夢明)より引用

 

と、言った感じでオオバカナコ(以下主人公)は殺し屋だらけの世界に入り込んじゃうんだけど、その殺し屋たちが一癖も二癖もある人間ばかりで、少しでも粗相をしたら一瞬で抹殺されそうな極限の世界で物語が進んでいく。

 

ここでこの本すげーって思うのは人間の描写が妙にリアルって事。

殺し屋って世界は普段私達と縁のない世界なんだけど、この本読んでたら「うわぁ、殺し屋の世界ってこんな感じなのかもしれない」とか妙に納得させられちゃう。

あと主人公も一般人とは言ったけど、結構堕落してる部類の人間で底辺を征くみたいな人。

その堕落してる描写も「うわ、こんな人いるわぁ」とか妙に納得してしまう。

 

なんだろう、あの暴力団の勢力図とかホームレスの実態とか政府の陰謀論とか「踏み込んじゃいけないけど、気になる」っていう一種の好奇心を刺激してくる感じがこの本から伝わってくる。

 

面白いのが、基本的に殺し屋の人たちは頭の中どっかぶっ飛んでるような奴ばっかなんだけど、その中に常識的で良心的な殺し屋(文字に起こすと矛盾の塊だけど)が「うわ、何この人カッコイイ・・・!」ってなる。いや、書いてる自分も意味わかんないんだけど殺し屋の「推しメン」ができた。あと殺し屋なのにスイーツのスフレ大好きとかちょっとかわいい。

 

で、この「推しメン」はこの先どんな活躍するのかな?うわ、続き気になる!とかすげー期待しながら読んでたら、「うわああああああああ」っていう結末になった。やってくれましたねハハハハハハ(白目)(気になる方は是非読んで下さい)

それが奴の引き金(トリガー)なんだ!

DINER(平山夢明)より引用

 

という風に、「殺し屋」で頭の中ぶっ飛んでる人だらけの世界なんだけどそんな人達もどこか「人間味」があって読んでいく内にそこに惹かれるようになる。あれかな?誘拐犯に心許しちゃうやつ?

 

ちなみに個性豊かな殺し屋たちは漫画版で忠実に再現されている。

原作とは展開や設定も違うので、原作を読んだ方も楽しむことが出来ます。

是非どうぞ!

リアリティあり過ぎて辛い拷問描写

 

拷問描写の一部

やたらに先の長いアイスピックのようなものを取り上げた。

「これをゆっくりと鼻に入れる。俺はそれをとても巧くすることができる。鼻の奥の粘膜を突き破り、副鼻腔を砕いて眼球の裏を傷つける。痛みに耐える訓練を受けた男でも悲鳴をあげるし、心臓麻痺で死ぬ者もいる」

DINER(平山夢明)より引用

初めて読んだときはそっと本を閉じそうになった。

それくらいエグい拷問描写のオンパレードである。

 

何がエグいって脳内で容易に痛さがシミュレーションできる点。

例えば「お前にガソリンをかけて火を付けてやる」とか言われても、きっとすごく辛いんでしょうけど体験したことのない出来事ですから、イマイチ事の重大さが伝わりにくい。

 

それに対してこの「アイスピックで鼻を経由して眼球を潰す」という描写は、普段生活していく上で痛みに直結しやすい器官でそこにアイスピックなんて突っ込むものならどれだけ苦しいかという事の重大さが伝わってくる。

 

僕はそういう描写が苦手で、「うわぁやめてくれぇ・・・」って思ってたんですけど、これが意外なことに「料理の美味しさとのギャップ」を生み出す結果になった。

 

めっちゃ美味しそうな料理

 

この本は基本的に拷問描写の次に美味しそうな料理を描写するってのが各章の流れなんだけど、その料理がまた美味しそうでたまらない。

パティはグリドルに載せると盛大な音をさせながら動く。水分が脂で跳ね上がり、蒸気とともに焼き上がりつつある肉の香気が渦となって私を包み込んできた。臭みのない、胃をちくちくと刺激し、口の中に唾が一気に溢れてくる匂い。派手じゃなく、町を歩いていて不意に路地から流れてきて鼻をぶっていく類の荒々しい匂いだ。

DINER(平山夢明)より引用

さっきまでの拷問描写のショックなんて忘れて「うわ、美味しそう」ってなる。

普通、グロい描写とか見たらしばらく食欲とか湧かないもんなんですけど、この本読んでたらそんな事お構いなしに料理の描写で唾液が出てくるのを感じることになる。

 

というか、グロ表現というマイナス要素を利用して料理をさらに美味しく引き立てられるようになっている。

炎天下の中、過酷な労働をした後に食べる食事は普段よりも一段と美味しく感じるあの感覚にどこか近い。

 

そして作者の徹底した美味しそうな食べ物の描写は素直にすごいなと思った。

 

読み終わった後はハンバーガーが食べたくなること間違いなしです(僕も自分で作った)

注意点としてはこの小説内で扱っているハンバーガーが普段私たちに馴染み深いマクドナルドなどのチェーン店のハンバーガーとは異なるということ。

「ジャンキーな食べ物」という要素のない「ディナーとしての」ハンバーガーを小説内では扱っているのでチェーン店のハンバーガーとは一線を画した別の食べ物である。

 

きっと読み終わった頃にはチェーン店のハンバーガーを食べても満足が出来ないと身体になってしまっていると思うので、ぜひ「グルメバーガー」を食べに行ったり、自分で材料を揃えてハンバーガーを作ってみてほしいなと思う。

 

独特の表現方法

 

この小説は主人公視点で語られていくのですが、主人公の言い回しが絶妙で面白い。

カウボーイが喋ると強烈なトイレの芳香剤の臭いが鼻を打った。安物の香水で、うがいをしているに違いない。

DINER(平山夢明)より引用

押しのけようと菊千代の腹を掴んだ。だけど、そこにはなんだか弛(たる)んだ皮の王国でどこにも確かな掴みどころというものがなく、しかも妙に温かくて気持ちが良かった。

DINER(平山夢明)より引用

このように単純な物事を説明するだけの文章なのに、そこに皮肉のようで独特な物事の捉え方をした文章が小説の中に溢れていて面白さを誘います。

同じ人間としてどんな人生を送っていたらこんな表現ができるんだろう(褒め言葉)

 

主人公もいつ殺し屋に殺されるかわからず、極限状態の中生きているというのに時折冷静にこのような表現方法をしてくるのがどこかシュールで笑えてくる。

そして終始このようなテンションなので、飽きること無く物語を読み進めることが出来る。

 

読んで無いなんてもったいない!是非読んでほしい本

 

と、言うように人間味溢れる殺し屋たちの人間ドラマエグすぎる拷問描写、しかしそのお陰で引き立てられる食べ物の描写独特な文章表現で成り立っているのがこの「DINER」という小説です。

実際読むと、様々な要素が絡み合う物語はどのように進んでいくのか?結末はどうなるんだろう??ってのが気になってページをめくる手が止まらなくなりました。

気がついたら、もう半分も読んでる!?・・・あぁもう全部読んじゃった。ってな具合でした。

 

電子書籍派な僕からするとKindle版が無いのが残念でしたが、文庫本版を買ってでも読む価値があると感じました。

まだ読んでいない方に一言言うとすれば

 

「DINER読んだこと無い?人生損してるよ!是非読んで欲しい!!」

 

スポンサードリンク

-

Copyright© 加藤直ノ助は有意義に暮らしたい , 2019 All Rights Reserved.